遺産分割協議は、全て正の財産および負の財産(債務)についてできます。
しかし、
負の財産についての遺産分割協議書は法的に第三者(債権者)に対抗できません。
債権者は、債務については、平等に相続されたとして、法定相続人全員(放棄した相続人を除く)に対して請求できます。
下に参考判決を載せておきます。
東京高等裁判所昭和37年4月13日決定
よつて、その分割の方法について考えるに、抗告人は農業を営んでいる者であり、被抗告人等はいずれも原審判説示のとおり農業以
外の職業に従事している者であるから、抗告人の農業経営に支障なきよう本件遺産に属する不動産はすべてこれを抗告人の所有とし、
被抗告人にはその取得すべき不動産の価額を取得せしめるν〜とも一方法であり、原審判のとつた分割の方法は、当裁判所も相当と考
える。
他に以上の判断を左右するに足る資料は存しない。
抗告人は、被相続人の金銭債務を考慮に入れないでした本件審判は不当であ
る旨主張するけれども、遺産分割の対象となるものは、被相続人の有していた積極財産だけであり、被相続人が負担していた
消極財産
たる金銭債務の如きは相続開始と同時に共同相続人にその相続分に応じて当然分割承継されると解せられ、遺産分割によつて分配せら
れるものでないから、抗告人の主張は、これを採用することができない。