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相続した株式を全部売却し現金化して分割するには

弁護士河原崎弘

相談:株式が遺産の場合の分割協議

母親が亡くなりました。相続人は、子ども3人です。遺産の中に株があります。
証券会社は、「母親の口座では売却できない。一度、各相続人の口座を作り、そこに株を 移し(移管する)、売却するように勧めています。
平等に分けようと考えていますし、株は、時価が、常に、変動しますので、これでは、平等に、わけることができません。
全部の株式を売却し、代金を分けることは、できないでしょうか。
遺産分割協議書は、どのように書くべきでしょうか。

回答:代表相続人口座を作り、株を売却する

株式につき複数の相続人がいる場合、相続人ごとに、口座を作り、移管依頼書を作成し、株式をその口座に移します(移管します)。この方法は、非常に面倒であるだけでなく、株価が、日々、変動するので、各相続人の取得金額に、でこぼこが生じます。移管した株式を各相続人が売却し、代金を調整すると、余計な課税をされそうです
そこで、 全株式を売却し、代金を分割する方法が便利です。
この便利な方法は、代表相続人を定め、代表相続人が一般口座(売却専用口座、特定口座ではない)を開設し、一般口座で、全株式を売却し、代金を分配し、譲渡所得税は、各相続人が申告する方法です。
その場合の遺産分割協議書です。

遺産分割協議書
被相続人田中花子(最後の住所、港区虎ノ門3丁目○番○号)が、平成26年7月10日、死亡したことに伴う相続につき、次の通り、遺産分割協議した。
被相続人田中花子の遺産が、別紙遺産目録記載の通りであることを確認する。
被相続人の一切の遺産を、長男田中一郎、次男田中二郎、長女鈴木明子(以下、相続人ら)が均分に相続する。
別紙遺産目録1記載の不動産については、相続人らが共同で売却し、代金を分ける。
別紙遺産目録2記載の証券などについては、長男田中一郎が 「 故 田中花子 相続人代表 田中一郎 」 名義の一般口座を開設し、その口座にて、全てを売却し、計算書を明示して代金を分配する。*1
売却に伴う税金は、相続人らが平等に負担する。
別紙遺産目録3.記載の預金、貯金および別紙4.記載の保険金については、鈴木明子が相続人らを代表として払戻し、受取り、計算書を明示して他の相続人に分配する。
2014年〇〇月〇〇日
東京都港区虎ノ門〇〇丁目〇〇番〇号
田中一郎  
東京都港区虎ノ門〇〇丁目〇〇番〇号
田中二郎  
東京都港区虎ノ門 〇丁目〇〇番○号
鈴木明子  

遺産目録
1. 不動産
 所在 港区虎ノ門○丁目
 地番 19番8
 地目 宅地
 地積 350.14u
 
 所在 港区虎ノ門○丁目19番地8
 家屋番号 19番8
 種類 居宅
 構造 木造瓦葺2階建
 床面積 1階 98.32u
       2階 66.52u
 以上の登記名義は田中太郎*2

2. 証券など
1) 東海東京証券株式会社に預けてある証券、代用証券、MRFおよび金銭など
2) 東京証券代行株式会社の口座にある株式*3

3. 預金、貯金
1) 三菱信託銀行虎ノ門支店にある預金
2)みずほ銀行虎ノ門支店  普通預金  1817万0343円
上記2)の預金は、鈴木明子名義(名義預金)*4

4. 保険
 かんぽ生命保険

説明
*1 株は、相続人全員が相続するが、売却は、代表相続人名義でする趣旨です。
*2 不動産は、遺産だが、まだ名義が変わっていないのです。
*3 ここにあるのは、通常、単元未満株ですが、単元株式がある場合もあります。
*4 娘名義の預金だが、遺産を構成する場合です。
2014/10/30
相続
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